マッチ間の処理について

はじめのあとがき
やっと校了した所で、いつもは文末に書いている「あとがき」を冒頭に持ってくることにしました。
今回初めて沢山の方からの意見を反映する形で記事を書かせて頂いたのですが、書いているウチに思いの外デリケートな所を触ってしまっている気がして、正直怖いなと。
MTGは公式で世界に2,000万人のプレイヤーが居るよ!と謳っているぐらい競技人口が多いTCGです。
その中の一人のプレイヤーが、他の多くのプレイヤーの影響によって「考え方」や「方針」を決めたよ!って言う1つのお話として読んで貰えると幸いです。
お前の中ではそうなんだな、と言う生暖かい目で。
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1ゲーム終了時にライブラリとその他を混ぜてシャッフルすると言う作業を繰り返していると、だんだん偏りが酷くなって行く現象に悩んでいた私は、まずシャッフルを知るために調べたり検証したりしてみました。
その結果「シャッフルが下手くそな訳では無い」と言う事だけは分かったので、ライブラリへのカードの戻し方に疑惑の目を向けたのが前回までのお話。
その後の質問ツイートに対して、本当に多くの方からリプライを貰えた事で「根本的な原因」と「マッチ間にするべき手順」そして「プレイスタイルをどうするか」と言うレベルまで判断する事が出来るようになりました。
ご協力くださった皆さま、ほんとにありがとうございました!
2つの前提条件
まず初めに「とても大事な前提条件」がある事を書いておきます、沢山の意見があると言う事は相反する意見も有ると言う事。
そこに注意して読み進めて欲しいと思います。
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競技志向
公式に定められたルールがあるため線引きがしやすい反面、厳しい制限を遵守するために知識や経験(=慣れ)が沢山必要になる。
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カジュアル志向
細かい制限が無く肩に力を入れずに楽しめる反面、どこまではセーフなのかと言う基準が「店やプレイヤー単位」で微妙に異なり線引きが難しい一面がある。
折角双方のプレイヤーさんから沢山のリプライを頂いたのに、片方の視点だけで意見を見ると「それはおかしい」とかなっちゃうからね、混同しないように。
あとは…私自身がどこを目指してるのかを明確にして読み解いて行く必要があると思いました、判断基準として「私は〇〇志向だからこうしよっかな」とかが必要になるため。
MTGで何が一番楽しいかと聞かれると、それはやっぱりデッキを考えて作ってる時で、そのデッキで戦って上手くハマった時が最高の瞬間です。
大技を振り回すのが好きだから競技レベルではアベレージ低くて話にならんでしょうし、やっぱりこれからもカジュアルを楽しみたいと思います!
とか言いつつも、欲張りな私はどうせ覚えるのなら公式ルールが良いなと思うので、カジュアル志向だけどシャッフル周りだけは公式ルールでやるって事にしてみよう。
どの道シャッフル周りだけ公式ルール覚えても、プレイ中の細かい部分は分かんないし、到底競技レベルとは言えないからね。
なお、今回私が疑いをかけているライブラリへの戻し方やシャッフル部分は全てMTG Wikiの《切り直す/Shuffle》のページに公式ルール(※競技志向向け)として載っていましたので、度々参照します。
と言う事で目指す着地点は…
- プレイスタイルはカジュアル志向(※ローカルルールを基準とする)
- シャッフル周りだけ公式ルールでやってみる(※個人的な趣味として自分だけに適用)
カジュアルかつクールに笑い勝利を取って行けたら最高です。
最初からズレていた問題点
マッチ間に行う作業はザクッと3つに分類できる。
- 手札と戦場と墓地のカードをライブラリに戻し、60枚(※デッキによっては60枚以上)の初期状態にする。
- 初期状態になったデッキを無作為化(=シャッフル)する。
- お相手にカット(※必要ならシャッフルも)して貰う。
この工程1が質問ツイートの内容で、沢山の意見の中でも一番多かったのが
ガサっと全部まとめてライブラリに突っ込む
と言う方法、大会動画見てても殆どコレですね。
そしてチラホラと、ある程度土地がばらけるようにライブラリに差し戻すと言う意見がありました。
どちらかと言うと、私もこの方法と大体同じ事をしておりました。
ただ、競技志向の方から「カジュアルなら良いかもだけど、お堅い試合でそれやると最悪ジャッジ呼ばれますよ」との指摘がありまして「うそん!?」と思いながらWikiに目を通す。
積み込みは重大な不正行為であり、トーナメントでは故意の違反として失格処分となることがある。
- 呪文と土地を分けておいてから切り直すこと自体は認められているが(マジック違反処置指針「3.4. イベント上の誤り ─ 不充分な切り直し」参照)、その後で十分に無作為化できなければ不十分な無作為化により積み込みと判断され得るため、注意が必要である。
引用 – MTG Wiki
土地と呪文を分けて混ぜるのはOKとあるので、土地を先に混ぜる所までは競技でもやって良いけど、故意的にばらして差し込むのはNGって感じなのだろうか。
しかし複数の方から同じ指摘があって、問題点自体がズレていると気づく事になります。
どの道ちゃんとシャッフルしないとダメなんだから、戻し方は割とどうでも良いのでは?
なるほど私の悩みとは「回収→シャッフルを繰り返していると、どんどん偏りが酷くなって行く」って現象だから、戻し方云々よりちゃんとシャッフル出来てないのが問題なんじゃないの?って事か。
せやな!!
つまり知りたがっていた「ライブラリへの戻し方」については、公式ルールに従いたいなら故意的にバラさずに差し込めば良いし、カジュアルに楽しむだけならどっちでも良いって単純な話でまとめられて…
問題の「偏って行く現象」はシャッフル、つまり無作為化がちゃんと出来ていれば発生しないのでは?と。
あ…なんかコレだと語弊があるか(汗)
当然カジュアル志向の中でも「その戻し方はやめてください」と思う方はいると思いますので、
私が挙げている問題点に限っては
と付け加えておきます、ズルい言い方でごめんなさい(※個々の考え方の問題になってくるからね)
そもそもカジュアルプレイだからと言って何でもやって良いハズが無い訳で、原則「無作為化」は絶対条件なんですよね。
デッキの中身がどう並んでるかなんて分かんないけど、十分にシャッフルされていればパターン化される事は無いハズです。
シャッフルをもう一度見直す
冒頭で「シャッフルは下手くそじゃない」とかイキっていたくせに、どうやら問題はシャッフルに有ると言う恥ずかしい事になりましたが、見て見ぬふり気持ちを切り替えて考察を進めて行きましょう。
なんと運の良い事に、殆どの回答には工程で言うと2の部分(=シャッフルの仕方)まで書いてくれてまして。
うわっ…私のシャッフル回数、少なすぎ…?
と言う事がよーーーく分かりました、話にならんw
ならば、様々な条件を満たすシャッフル手順を確立すれば自然と偏りは発生しなくなり、めでたく問題は解決するのではなかろうかと言う話になってくる。
定義
ライブラリーや裏向きのカードの束を切り直すとは、その中でカードを、どのプレイヤーにも順番が分からなくなるように無作為化することである。
- カードの束を無作為化する際に、切り直すことと併用されることがある手順として、カットがある。
引用 – MTG Wiki
自分を含めたどのプレイヤーにも分からなくする、カジュアルだろうが競技だろうがこの条件を満たせば「無作為化されている」と言える訳ですね。
よーし、こうなったら徹底的に分からなくしてやろうじゃないの。
シャッフル方法の組み合わせ
一般的には複数のシャッフル方法を併用するのが良いとあり、それは前回の検証結果を見ても明らかです。(※同じシャッフル方法を繰り返すと大なり小なりパターン化する)
個人的には
- ヒンドゥシャッフル
- ファローシャッフル
- ディールシャッフル
の3つを駆使するのがベスト!と思っているのですが、
シャッフル周りは公式ルールでやってみたい!
と宣言したので、一つ制限があるようです。
ルール
- 認定大会においては、ディール・シャッフル(後述)のみでは十分な無作為化とは認められず[1]、またディール・シャッフルはカードを数える目的で、ゲームの開始時に1回しか行うことができない。
- 複数回のディール・シャッフルは時間がかかるだけではなく、配列を弄るイカサマの温床になりやすいためと思われる。
引用 – MTG Wiki
えっと、ゲーム開始前ってマッチ間は含まれるよね?サイド後とか絶対7切りしたいんだけどw
マッチ間も含まれるならどのみち1回しか挟まないつもりなので影響は無いです。
ファローとヒンドゥの性質
前回作ったファローシャッフルの検証テーブルに注目してみると、ヒンドゥとファローの組み合わせには注意が必要だと感じました。
まずは自分の手で「60枚のデッキを普段通りヒンドゥシャッフル」して、何回切ったかを数えてみて欲しい。
私は6回か7回だったので、平均して6.5回切っている事になるため
1カット=60÷6.5=9.23枚の束
を掴んで上に乗せて行っている事になります。
次にファローシャッフルは検証にて「上からn番目のカードはn×2下にズレる」と言う法則が有る事が判明しているので、ファローシャッフルを2回行っただけの状態でヒンドゥすると、2~3枚のカードが4枚飛ばしで元の並びを保持したままカットされる確率が凄く高い事が分かる(※検証テーブルの青いセル「2」を追うと分かりやすい)
なので私と同じくヒンドゥ1セットが6~7回のカットで終わる方は、ファローを最低3回(※4回ならほぼ確実)してからヒンドゥシャッフルすれば、殆どの配列が保持される事無くカット出来るハズです。
うん、これはなんか凄く良さそう!
上下のカード配列を確実に崩す
次に考慮したい点は、ファローシャッフルをした時に上付近と下付近が混ざりにくいと言う弱点です。
毎回パーフェクトファロー(※完全に山を1/2に割って完全に左右交互に挿し込む)出来るぜ!って猛者は読み飛ばしてください。
まずは半分ぐらいに割ったカードの束を、もう片方の束にぶっ挿します。
ファローシャッフルは完全に山を二等分かつ交互に均等に挿せない場合、上下どちらかまたは両方にこう言った「混ざらない部分」が出てきます。
分かりやすく青と赤で色を付けてみました。
まぁこれはしゃあない事なので、差し込みきって束を整えたら(=不完全ファロー)、また半分ぐらいの所でパクっと山を割ります。
この段階では、多分こんな感じで混ざってない部分があるハズ。
で、この下半分の山(※赤い方)を気持ち上の方に差し込むと…。
どうだろう、これで絶対に混ざるんじゃないかな?
んで私の最低ファロー回数は3回以上って分かったので、この手順をもう1回繰り返せばファローシャッフルを4回した事になります。
ここでヒンドゥシャッフルを挟むと、配列を保持せずに起点をランダムに変える事が出来ます。
この手順を使うと1セットで2回のファローシャッフルをする事になるので…なんか名前が欲しいですね。
ズラしファロー?
ダサいかな、まぁ仮名って事で。
まとめ
かなり知らなかった事が多くて思いの外長文になっちゃいましたが、現段階でこれ以上のやり方は思いつかないので「マッチ間の処理でやるべき事」を手順化して〆としましょう。
マッチ間の処理手順
- 手札・戦場・墓地のカードを集めた束を裏返し、それを軽くヒンドゥシャッフルしたモノをライブラリに横刺しして60枚のデッキ初期状態にする。
- ヒンドゥ×1
- ズラしファロー×2、ヒンドゥ×1
- 7切り(ディール)×1
- ズラしファロー×2、ヒンドゥ×1
- お相手にカットしてもらう
※手順1で集めた束は枚数が少ない事が多いので、カードが少ないと配列が戻りやすいファローシャッフルはなるべくやめた方が良いと思う。
※ファローシャッフルする時はデッキボトムとか見えないように、顔を逸らすとかしないといけないらしい。
都合ファローシャッフルを8回、合間に配列を保持出来ないヒンドゥシャッフルを2回と最初に1回の合計3回、ディールシャッフルを1回。
これが私の考える
公式ルールに準拠していて、シャッフルの性質による偏りを極力回避しつつもよく混ざる手順。
です!
きっと、恐らく、多分。
そうだと良いなって…。
もう1セットぐらい要るかな…。
これが正しいかどうかは、現時点では分かりかねます。
しばらくこれでやってみて「なんか偏って行かないような気がする!」みたいな曖昧な答えになるかも知れないです。
それでも今回の記事がキッカケでゲーム以外の部分についてこんなにも詳しくなれた事は、ひとえに沢山の回答をくれたMTGプレイヤー達のおかげです。
長文にお付き合い頂いた事も併せて、今一度のお礼を。
いらすとや、好きです。
ディスカッション
コメント一覧
先生!ディールとファローとヒンドゥーがそれぞれどんなシャッフルかよくわかりません!
(ググっても結局よくわかってない)
Emissaryさん>ナ、ナンダッテー!
ヒンドゥ:多分日本人なら始めて覚えるシャッフルが大体コレ、子供の頃ババ抜きする時とかに使ったと思われる単純なやつ。
シャッフルと言うよりカットだと思う。
ファロー:山を半分に割ってお互いを差し込むやつ、MTGでは1番良く見るやつ。
多分えみさんもめっちゃやってると思う。
ディール:例えば7切りなら1枚ずつ並べて行って7枚置いたら2枚目を重ねるように再び1枚ずつ7枚置いて行く、これを山が無くなるまで繰り返すやつ。
詳しくは「シャッフルについて勉強してみた」の記事に写真付きで載せてるのでご覧ください(宣伝)
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