モダンはおもちゃ箱2 vol.2 – 食べれない弁当

さぁ、楽しいモダン構築のお時間ですよ。
前回「○○したら勝ちってのを沢山入れまくったら対処しきれなくね?」と言う発想から、
勝ち筋の幕の内弁当
みたいな構成にすれば「対策する事が出来ないデッキ」が完成するに違いないと言う、画期的な仮説が誕生した。
この一年間の経験上、どう考えても中途半端なデッキになるとしか思えないが、何事もやってみなければ分からない。
私は一流料理人のような眼光で、デッキのパーツになり得るカードの選定作業を始めたのです。
天ぷら出汁巻き鯖の塩焼き
オカズの種類は多い方が楽しいに決まっているので、原価を無視した最高級の素材を厳選したいところです。
静める者、エトラータ/Etrata, the Silencer
吸血鬼デッキで使いたかったけど、色が合わずに使えなかった勝利条件持ちクリーチャー。
正直これで勝ちきるのは難しいだろうけど、除去兼アンブロ火力を備えたプレッシャー枠としてピン挿しするのはアリかも知れない。
アゾールの雄弁家/Azor’s Elocutors
牛歩と言えば政治家達が度々使う「世界一しょうもない戦術」の事を指し、実際に牛歩だけでは妨害は成功しない事の方が多い。
このクリーチャーも5回アップキープを迎える事が出来れば「牛歩戦術により勝利する」訳ですが、コイツが除去されたり、本体に何らかのダメージが入るだけで牛歩カウンターが取り除かれてしまうため成功しない事の方が多いと言うフレーバーを的確に表現しているのが、とても面白いデザインだなと思います。
だがしかし政に暗部は付き物、そのまま使ったりは致しません。
きっと《流束の媒介者/Flux Channeler》や《ゲスの玉座/Throne of Geth》辺りとの相性は良いに違いありません。
《増殖/Proliferate》はボーラス様の忠誠度を増やしたり、チャリスや薬瓶などの対策にもなって一石二鳥どころでは無いのが超Cool。
ダークスティールの反応炉/Darksteel Reactor
これの上に20個の蓄積カウンターが乗っかると勝利すると言う、恐ろしく悠長な置物。
いくら破壊不能で増殖使えば多少加速出来ると言っても…流石に20個は厳しいね。
機械化製法/Mechanized Production
その昔《パワーストーンの破片/Powerstone Shard》を用いたクソデッキを作った時に、これで勝ちに行こうとして断念した苦い思い出が有ります。
しかしこれは何でも良いから同じ名前のアーティファクトを8つコントロールしていれば勝利なので、出して直ぐ勝てる可能性がある点は評価出来ます。
単純に毎ターンアーティファクトがコピーされて行く能力で着実にアドバンテージを得て行くのは、勝利条件関係なく普通に強い気がする。
ヘルカイトの暴君/Hellkite Tyrant
コイツはアーティファクトを20個コントロールしていると勝利する大型フライヤー。
反応炉と同じく20個と言うキーワードを持つが、こちらの方が幾分条件はマシである。
元よりアーティファクトをばら撒くデッキであるし、トークンを量産出来るギミックと併用したり、《マイコシンスの格子/Mycosynth Lattice》が出ている戦場で攻撃を通せば「相手の全てのパーマネントのコントロールを得る」なんて言う超絶ロマンコンボも魅力がある。
問題点はコイツのマナコスト以前に、6/5のフライヤーならそのまま殴り倒せば良いし、トークンの量産(=ソプターコンボ等)でそれだけ並んでいるならそのまま殴り倒せば良いし、マイコシンスなら灯争カーンを置いておけば攻撃を通さずとも勝ててしまう所だろう。
要するにあらゆる組み合わせでオーバーキルどころか、執拗な死体蹴りみたいな状況になってしまう。
弱者の剣パッケージ
- 枉惑な調達者/Sly Requisitioner
- 研磨基地/Grinding Station
- 弱者の剣/Sword of the Meek
- 飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry
- 最高工匠卿、ウルザ/Urza, Lord High Artificer
1~3が揃うと相手がライブラリアウトして勝ち。
3と4が揃うとお手軽ソプターコンボ。
3~5が揃うと無限マナ&無限ライフ&ライブラリ全部プレイで勝ち。
普通はこのコンボを成立させるために全力を出すデッキを組みますが、他の勝利条件を満たしたり、単純に時間稼ぎにも使えそうなのでバラバラに入れて見ましょう。
香ばしい匂いがして来ました
テンション上がって選び過ぎたせいで、なにやら弁当箱の中身が「ほぼオカズで埋まっている」みたいな状況になってきました。
ひょっとしなくても、ご飯入れたらフタが閉まらん!ってなるヤツでしょコレ。
さらに、現時点でフィニッシャーの大部分が4マナ以上で「着地してから勝つための準備をし始める」と言う大問題も発覚しています。
のんびり屋さんか!
ここはモダン、魔境と呼ばれる戦場では4ターンも有れば人が死ぬんだぞ!!
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この時点で「絶対無理でしょコレ」と確信が有ったが、無理矢理に詰め込んでシミュレーションしてみた。
メイン (60)
このリストを回し始めて、直ぐにこのデッキの特徴に気付く事になる。
それは試行回数が30回を超えた辺りで、いい加減目を覚ませと言う現実からの呼び掛けでもありました。
なんと言うか…
このデッキ、何も起こらねぇ!
そう、何も起こらないのだ。
10ターンぐらい経っても、何も起こらない。
押してるとか、相手を抑えてるとかそう言う次元にすら居ない、とにかくカードを引いて置いてるだけ。
基本的に一人回しと言うものは「自分が都合の良い」ようにゲームが進行するものですが、それでもダメだとハッキリ分かるレベルで何も起こらない。
デッキ構築中は脳内がお花畑になる私でも「構築段階で成立させようとしていない」と言う真実に辿り着くのは時間の問題でした。
この弁当はとても喰えたもんじゃねぇ。
これはデッキ構築なんてもんじゃなくて、有象無象のカードを60枚束ねた、ただそれだけの物でしかなかったのだ。
残念ながら方針を変更してでも軌道修正をするしかない、私は「酷いものを見た」とニヤけながらデッキを解体するのでした。
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始まる前から黒星1、確かに「前回を超えたい」とは書いたものの決してこう言う意味じゃないから(白目)
あまりに酷い内容で頭を抱えましたが、まだ手は有ります。
サイドボードを利用して極端な勝ち筋を2分割する事で、相手の対策を無効化すると言う伝統の必殺技「アグレッシヴ・サイドボーディング」を使う時が来たのです!
コレやりだすと絶対おかしな事になるのは知ってるんだけどねw
次回早くも奥の手、やるならトコトン馬鹿してやろうぜ。
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