[モダン戦略] ヘリオッドカンパニー対策 vol.2 – 無限コンボ干渉編
前回はヘリオッドカンパニーとは何ぞや?と言う基礎知識を解説しましたので、今回は実際に対戦すると相手が必ず狙ってくる「無限コンボに干渉する方法」を解説したいと思います。
干渉する方法と言うより「止める方法」と言った方が良いかもですが。
これらは大きく分けて
- インスタントタイミングで干渉する。
- 先置きして干渉する。
- そもそもパーツを出させない。
の3つに分類されるので、それぞれの方法と長所&短所を一つずつ書いていく事にします。
ループするためのステップ
早速方法を!と行きたい所ですが、まずは処理される順番を頭に入れておきましょう。
これが理解出来れば、自ずと止めるタイミングが見えてくるはずです。
無限ダメージコンボ
前提条件:ヘリオッドと、+1/+1カウンターが2つ以上乗ったバリスタが場に出ていて、かつ(1)(白)の浮きがある状態。
- 魂絆を付与したいバリスタを対象に取って、ヘリオッドの(1)(白)を支払う能力を起動する。
- ステップ1が解決された後、1点ダメージを与える対象を取って、バリスタの+1/+1カウンターを一つ取り除く能力を起動する。
- ステップ2が解決されて、1点のダメージを与えると同時に絆魂で1点のライフゲイン。
- ライフゲインによりヘリオッドの誘発型能力がスタックに乗り、+1/+1カウンターを乗せたいバリスタを対象に取る。
ステップ4まで解決されればループ成立、2週目からはステップ1を省略出来るので2~4を繰り返す事が出来ます。
無限ライフコンボ
前提条件:ヘリオッドと、+1/+1カウンターが2つ以上乗ったスパイクの飼育係が場に出ている状態。
- スパイクの+1/+1カウンターを一つ取り除く能力を起動する。
- ステップ1を解決、2点のライフゲイン。
- ライフゲインによりヘリオッドの誘発型能力がスタックに乗り、+1/+1カウンターを乗せたいスパイクを対象に取る。
ステップ3まで解決されればループ成立、1~3を繰り返す事が出来ます。
当サイトの記事では、しょっちゅう「顔面2億点!」とか「8億ぐらいライフゲイン!」とか言ってますが、これはあくまで干渉されない事が前提で、紙ルール特有の手順の省略を行っているだけです。(※そもそもカウンターが2つのバリスタでは、相手のライフ最大値までしかダメージを与えられないです!)
無限ダメージコンボ(スタックで除去する)
通常の構築をしていたら、一番再現しやすいのがこの方法だと思います。
上手く除去出来ればおかわりが来るまで時間稼ぎが出来るので、その間に何とかするチャンスが生まれます。
とは言え、基本的にはこちらから仕掛けてはいけません。
無限コンボ側もインスタントタイミングで動ける不具合があるため、多くの場合は「後出しじゃんけん」でないと止められないからです。
無限ダメージに対して除去で対応する場合は、どのタイミングでも割り込む事が出来ますが、状況によって最適なタイミングが異なります。
ステップ1で割り込む
ここで干渉するには「相手が(1)(白)を1回しか支払えない」場合に限定されます。
2回以上支払えると、こちらの除去のスタックでもう一度ヘリオッドを起動されて、解決→バリスタ起動で完走されてしまいます。
逆に1回しか支払えないなら
- ヘリオッドの起動型能力のスタックで、何らかの方法でバリスタに除去を投げつける。
- 起動型能力はマナを支払えないため、相手は仕方なくステップ1の除去のスタックでバリスタのダメージ飛ばしを全て起動する。(※ここでバリスタの+1/+1カウンターが全部無くなって退場。)
- ステップ2でスタックに乗ったバリスタの能力を解決してダメージを反映する。
- ステップ1でスタックに乗っていたヘリオッドの起動型能力がフィズって終わり。
こうする事で余計なライフゲインが発生しない(=他のクリーチャーに取り合えず+1/+1カウンターを置せますが出来ない)し、確定除去を握っているなら唯一バリスタにカウンターが3つ以上乗っていても止められるので最善手となる。
土地が4枚以上起きていても、相手の出せる白マナの残数を良く見て、可能ならここで割り込みたい所です。
ステップ2か3で割り込む
絆魂が付いてしまっている状態の「バリスタの起動を見てから」となるこのタイミングは、どちらで割り込んでも結果は同じになります。
1発撃ってる(=バリスタが1/1にサイズダウン)状態なので、1点ダメージの《溶岩の投げ矢/Lava Dart》や《はらわた撃ち/Gut Shot》、他にも何らかの★/-1修正などでも割り込めるチャンスとなります。
このスタックでバリスタに除去を当てに行くと、相手はもう一度1点ダメージを飛ばさないと損するので能力を起動。
当然+1/+1カウンターが無くなり死亡するので、ヘリオッドの能力が誘発する頃にはループするための砲台が無くなっている事になります。
注意点としては、ステップ2以降で割り込み除去する場合、「バリスタに乗っている+1/+1カウンター数から1引いた枚数の除去が必要」と言う事。
例えば3つ乗ってると、1発目の除去スタック(残りカウンター2)で、もう一度起動すれば除去が解決する前にヘリオッド誘発まで行けるので、更にもう一発スタックで除去を投げる必要が出てくる。
つまり3-1=2だから、除去が2枚必要って感じ。
ステップ4で割り込む
これは絆魂が付いた状態のバリスタビームを食らい、ライフゲインによるヘリオッド誘発がスタックに乗ったタイミングです。
ここで無限コンボに行くために+1/+1カウンターを乗せる対象に取られたバリスタをスタックで除去する事で、ヘリオッドの誘発型能力をフィズらせる事が出来ます。
ステップ2やステップ3で割り込むと、ヘリオッドの誘発前にバリスタが場を離れるため、相手に+1/+1カウンターの乗せ先を決める選択肢を与えてしまうので、特別な理由が無い限りはここで割り込む事をおススメします。
これって結構危なくて、例えばバリスタが2枚並んでると生き残った方に2個目を乗せられたり、レインジャー長を4/4にされてこちらのブロッカーを乗り越えられたりと、戦線崩壊を招く可能性があったり。
まとめ
てなわけで、無限ダメージコンボを止めるタイミングに関しては「ベストはステップ1」で「次点はステップ4」って事になると思います。
バリスタはアーティファクト・クリーチャーなので除去できるカードは多くて、プッシュやファクト破壊は勿論、普通に稲妻のようなダメージでも良いし、マイナス修正を加えるのもOK。
ちょっと変わった方法だと、ブリンクしてあげたりするのも良いですね。(※カウンターを失って戻ってくるので即死する。)
ただし相手もそれは対策済で、多くの場合は《ルーンの与え手/Giver of Runes》や《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》で妨害してくることになります。
この辺については、また別の記事で詳しく見て行くことにしましょう。
なお間に合うかどうかは別として、バリスタがどうしても憎い場合は《クローサの掌握/Krosan Grip》を採用するのもアリかもしれない。
撃ち放って相手に言ってやるのです。
これ刹那なんで
無限ライフコンボ(スタックで除去する)
さて、お次は無限ライフコンボにインスタント除去で干渉する場合のお話。
こちらはかなり厳しくて、ほぼ1択みたいな所があります。
ステップ1&ステップ2で割り込む
これはどちらのタイミングで割り込んでも同じ結果になると思うので、無限ダメージと同じくあまりおススメしないです。
やるなら次のステップ3で割り込みが良いかと。
ステップ3で割り込む
理由は無限ダメージと同じく、ヘリオッドの誘発で+1/+1カウンターの対象が決まったタイミングで除去を撃ちこみ、これをフィズらせる事で機会を損失させるのが狙いです。
ただ、バリスタと違ってどうせ死ぬならでもう一度起動された方もまた誘発するので、少なくともヘリオッド自体に+1/+1カウンターが乗ることになります。
まとめ
と言う訳で、無限ライフコンボに関してはヘリオッドの誘発がスタックに乗ってから除去を撃つってのがベストだと思います。
無限ダメージには存在したヘリオッドの起動型能力みたいな隙が無いので、割り込むタイミングが限られているのがキツイ印象。
勿論こちらも同じく乗っているカウンターから1引いた数の除去が必要になる上に、クリーチャー用の除去でないとどけられない、コストが3なのでプッシュは紛争しないといけない、そして相手の妨害をかいくぐらないといけないなどなど、とにかく妨害が困難で酷いコンボとなっています。
先置きして干渉する
置物や常在型能力をもつクリーチャーを出しておいて、相手の行動を阻害する方法。
通常の構築だと、基本的にサイド後のお話になります。
ライフゲインさせない
まずは分かりやすく、ライフゲイン自体を咎める方法。
ライフゲインされなければヘリオッドが誘発しない、誘発しなければ無限コンボにはならない理論。
恒久の拷問/Everlasting Torment
ライフゲインとダメージ軽減を禁止して、全てのダメージを《萎縮/Wither》扱いにするエンチャント。
この萎縮効果もかみ合っていて、次のターンにヘリオッド起動で勝ちだから「とりあえずバリスタX=2」と言う良くある動きをされた時に、バリスタに1点だけでもダメージを与えられれば、-1/-1カウンターが+1/+1カウンターを相殺して無限コンボを妨害する事が出来ます。
他にもあまりないケースではあるけど、顕現してしまったヘリオッドをマイナス修正で殺せるチャンスが生まれたり。
暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon
ライフゲインを禁止する常在型能力と、クリーチャーを出したコントローラーに1点のダメージを飛ばす誘発型能力を持つ、元スタン禁止の実力者。
使うと分かるけど、3/3威迫はクロックとしても強力。
乱動する渦/Roiling Vortex
最近の赤くて速いデッキで人気のエンチャント、いちいち起動コストに(赤)が必要になるのが玉に瑕。
ゆうてこれなら無理な構築をしないでも割と素直に入れられるし、実際私も対白単ヘリオッド戦で使った実績があります。
全体除去で牽制する
スタック起動で単体除去をシャットアウトするルーンの与え手、こちらのアップキープに生け贄に捧げられ全体除去呪文をシャットアウトするレインジャー長、こいつらに対しては「全体除去を先置き」しておく事で、ある程度対抗出来ます。
例えば《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》とか《漸増爆弾/Ratchet Bomb》みたいなアーティファクト。
割り込むタイミングは先述の除去と同じでOKですが、やはりスパイクの飼育係のコスト3と言うのがネックになってきます。(※バリスタは0でいけるからまだ優しい。)
能力を起動させない
能力が起動出来なければそもそも何も起こらない、当然無限コンボにはならない理論。
溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe
緑の定番サイドカード、こいつが出ればバリスタが沈黙するので、少なくとも無限ダメージが発生しなくなります。
なおスパイクはお察し。
減衰のマトリックス/Damping Matrix
こちらはバリスタもスパイクも両対応、無限コンボ許さないマンで頼りになります。
ただし顕現していないヘリオッドは「クリーチャーではない」と書かれているためエンチャント扱い、加えてライフゲインによる誘発は防げないため、絆魂付与からのコンバットで少しずつ戦線を強化されるので決して安心は出来ない。
自ずとゲーム速度は下がるので、色々と持て余した対戦相手が色々と展開しだして、ヘリオッドが顕現したら絆魂を付ける能力が起動できなくなる事は覚えておこう。
その他
後はそうですね、置物で自分自身を守るとか。
本体を守れば死なない、死ななければ無限コンボされても死なない理論。
これは定番の《神聖の力線/Leyline of Sanctity》とか、カルドハイムの新カード《守護者の盾、ヴァルクミラ/Valkmira, Protector’s Shield》(※傑士の神、レーデインのB面)とかで無限ダメージは妨害出来ます。
でもやっぱり、スパイクの無限ライフはどうしようもありません。
試した事は無いけど、どうしてもヘリカンの無限コンボが憎い場合は《厳粛/Solemnity》を採用するのもアリかもしれない。
盤面に叩きつけて相手に言ってやるのです。
カウンター置けないんで
そもそもパーツを出させない
さて、最後はやりたい事をやらせなければ無限コンボにはならない理論。
即ちカウンターや除去でパーミッションをかけて、相手をコントロールしてしまう方法です。
これはコントロールデッキを組めば自然とそうなるので、きっと相性が良いだろうと思ってたんだけど…
コイツがダメだった
サーチだけでもアド取れるんやしもうええんちゃうん?そのサイレンスは要らんのちゃうん?
何度思ったことか。
一応本家のサイレンスと違ってクリーチャー呪文は唱えられるので、カンパニーのスタックで《封じ込める僧侶/Containment Priest》をフラッシュする事は出来ます。
ただし、顕現してないヘリオッドは追放されない不具合がある模様。
—
以上、ヘリオッドカンパニーの無限コンボに干渉する方法の解説でした。
ただでさえ強いデッキなので、分からん殺しされてるようでは勝つのは困難、しっかり仕組みを理解して勝機を見出しましょう。
次回は様々なアーキタイプで積み上げた敗北から見えた、ヘリカンの動きや性質を元に「弱い点・強い点」について考察します。
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