技量ある活性師

さて、今回注目するのは肉付きハサミこと技量ある活性師さんです。

スタン環境ではカラデシュブロックが落ちた事でお世辞にも評価できるとは言えないのですが、ハサミ飛び交うモダン環境においては期待のニューカマーとして歓迎したい所です。

イラストを見る限りでは、その辺に置いてるようなタンスをぶつけて、4/5のタルモを一方的に討ち取る姿勢を見せているので、中々期待出来るのではなかろうか。

 

Skilled Animator / 技量ある活性師 (2)(青)
クリーチャー — 人間(Human) 工匠(Artificer)
技量ある活性師が戦場に出たとき、あなたがコントロールしているアーティファクト1つを対象とする。技量ある活性師が戦場に残り続けているかぎり、それは基本のパワーとタフネスが5/5のアーティファクト・クリーチャーになる。

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引用 – MTG Wiki

基本スペックはこんな感じ、本家ハサミより(1)重くてタイプがエンチャントからクリーチャーに変わっています。

点数で見たコストが2の《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》別格として、3マナ域のハサミはライバルとして《テゼレットの手法/Tezzeret’s Touch》が存在するので色々比較してみようと思います。

 


肉付きvsオーラ徹底比較

幾つか条件を定義した上で比較テーブルを作ってみます。

  • ハサミ:対象を取り5/5にする元のカード、今回は活性師と手法がこれに該当します。
  • タネ:5/5にしたい対象となるアーティファクト、その中で3つの属性を定義。
    • 普通のアーティファクト
    • アーティファクト土地
    • 破壊不能の有無
  • ハンド:結果的にこちらのハンドが増える枚数(1枚につき評価1)
  • ボード:結果的にこちらのパーマネントが減る枚数(1枚につき評価-1)
  • :通らない(評価2)
  • :属性によっては通らない(評価1)
  • ×:通る(評価0)

これらを評価基準とし、構築級のカード(※モダンフォーマット)を引き合いに出して比較して行きます。

通る通らないは破壊不能のみ評価、呪禁・被覆・プロテクションはついていないものとする。

あと、スマホでご覧の方は横持ちにすると見やすいと思います。

 

表の見方

タネ ハンド ボード ハサミ ハンド ボード
流刑への道 × -1

流刑への道をタネ(=アーティファクト)に撃った場合は破壊不能でも通る、追放されるためテゼレットの手法の誘発能力は発動しないのでハンドに変化は無し、戦場からはタネとハサミ(=手法)の2枚が退場する代わりに基本土地が1枚出るので差し引き-1枚って感じで読んでください。

さてさて、どうなりますかね。

 

単体破壊・追放・バウンス

まずは基本となる「単体を対象に取るタイプの除去」に対する評価をしてみましょう。

テゼレットの手法
タネ ハンド ボード ハサミ ハンド ボード
喪心(殺害) 1 -2
流刑への道 × -1
暗殺者の戦利品(内にいる獣) 1 -1 × 0
一瞬(残響する真実) 1 -2 × 1 -1
蒸気の絡みつき(送還) × 1 -2
解呪(帰化) 1 -2 × -1
科目別小計 4 5 -10 6 1 -2
総合評価 4

オーラの弱点であるタネが割れた時のボードアドバンテージの損失が凄く大きいが、割れたタネが墓地に落ちる場合はハンドに戻ってくる効果で結構相殺されています。(=追放やバウンスを当てられるとかなり辛い)

ただし、ボードアドを失うと相対的にテンポが崩れるので過信は禁物。

戻ってくるのが0マナのアーティファクトなら、マナのリソースを喰わないので強い組み合わせと言えますが、逆にマナコストがかかるアーティファクトが戻ってきたらしんどいって感じ。

結局のところ、手法はエンチャントなので除去し辛く、相手からしたらタネを割るしか無い状況になりやすいのもプラス評価。

 

技量ある活性師
タネ ハンド ボード ハサミ ハンド ボード
喪心(殺害) -1 × -1
流刑への道 × 0 × 0
暗殺者の戦利品(内にいる獣) 0 × 0
一瞬(残響する真実) 1 -1 × 1 -1
蒸気の絡みつき(送還) × 1 -1 × 1 -1
解呪(帰化) -1
科目別小計 4 2 -4 2 2 -3
総合評価 3

活性師はクリーチャーとして戦場に存在するので、タネを割られても基本的に何も起こらない。

単純にボードアドバンテージを失いにくいと言う事が分かりますが、様々なデッキに幅広く採用されているクリーチャー除去が刺さってしまうのがマイナス。

そしてハンドアドバンテージは基本的に稼げないため、なんらかのドローソースが欲しくなりますね。

 

少し特殊な単体除去

次に条件付き除去だったり、固定のダメージを飛ばしたり、アーティファクトだけ破壊などの特殊なカードを撃たれた時の評価をしていきましょう。

テゼレットの手法
タネ ハンド ボード ハサミ ハンド ボード
致命的な一押し 1 -2
稲妻(稲妻の一撃)
削剥 1 -2
酸化(破壊放題) 1 -2
押し潰す梢 1 -1 × -1
科目別小計 6 4 -7 8 0 -1
総合評価 10

これは高評価、この手の小器用なタイプ相手にはかなり適性があるようです。

クリーチャー除去が得意な赤と黒には強くて、置物破壊が得意な白と緑には弱いって感じかな。

 

技量ある活性師
タネ ハンド ボード ハサミ ハンド ボード
致命的な一押し -1 -1
稲妻(稲妻の一撃) × -1
削剥 -1 × -1
酸化(破壊放題) -1
押し潰す梢 -1
科目別小計 6 0 -4 5 0 -3
総合評価 4

モダンで良く言われる「タフ3と4では全く別物」って意味を、ここで痛烈に実感する事に。

クリーチャーに触りにくい緑には強くて、白と黒と赤には弱いって感じだと思うので、やはり手法より一歩劣る評価となります。

 

全体破壊・追放・バウンス

最後の比較はリセットカード、展開している枚数に左右されるので文面での評価のみとします。

テゼレットの手法 技量ある活性師
神の怒り タネが割れたらハサミも割れる、タネが割れなければハサミも割れない。 少なくともハサミは全部割れる。
忍び寄る腐食(粉砕の嵐) タネが割れたらハサミも割れる、タネが割れなければハサミも割れない。 少なくともハサミは全部残る。
残骸の漂着 殴りかかったタネは全部追放されて、ハサミは全部割れる。 殴りかかったタネは全部追放されるが、ハサミは全部残る。
川の叱責 城塞以外のタネとハサミが全部バウンスされる。 城塞以外のタネとハサミが全部バウンスされる。
ウルザの殲滅波 タネもハサミも全部追放される(笑) タネもハサミも全部追放される(笑)

まぁリセットは読んで字の如く、デスヨネーされちゃうもんなので大差無しかな?

 

今回の比較結果だけを見ると、クリーチャーである事にシナジーを見出してあげない限りは、活性師より手法を使った方が「得られるアドの期待値」は高いんじゃないかなーと思います。

 


シナジーを探す

現時点では、ハサミ3マナ部門はテゼレットの手法に軍配が上がっている訳ですが、私が初めてコイツを見た時に感じた「何かやってくれそう」と言う予感が脳裏をよぎり続けています。

 

今こそクソカード愛好家の意地を見せる時(活性師に失礼)

 

そう思ってから2日が過ぎ、良い感じに忘れ始めた頃に、天啓。

 

永遠への旅でぐるぐるしたろ!!

 

永遠への旅/Journey to Eternity

これにより活性師が戦場と墓地を往復すれば、ハサミの残弾は実質無限になる上に、インスタントタイミングで対象のアーティファクトをハサミる事が可能となる。

 

なんか強そう!

 

だがそれを実現するには、色々と制約をクリアする必要がある。

まず、活性師がCIP能力で対象に取ったアーティファクトは「活性師が場を離れるまで」5/5のアーティファクトクリーチャーとなる。

だから好き勝手死んでもらっては困る。

もう少し具体的に言わせて貰うと、実際に使っていて「活性師しょうもない」と思うシーンはタネをバウンスされて、そのタネをもう一度場に出した時だ。

活性師はCIP能力が誘発しないとただの1/3バニラ、後出しのアーティファクトには一切影響を与えない。

この元カノとも言える「タネと横並びしている空気感」は実になんとも言えない。

人間とは残酷なもので、こう言うのを見せられると心のどこかで「死ねば良いのに」と思ってしまうものなのだ。

そう、いっぺん死んでから生き返れば再びCIP能力が誘発して、元カノとヨリを戻す事が出来るのだから。

おぉ?上手いこと言ったんじゃない??

そうでも無いですか、はい。

 

ここまでの話をまとめると、活性師さんには

 

任意のタイミングで死んで貰いたい

 

って事になる(ヒドイ言い草)ので、気持ち良くなる薬サクリ台を処方してあげるのが良さそうです。

なお《臓物の予見者/Viscera Seer》は4枚自然に入るデッキならそれで良いですが、活性師を使うデッキはアーティファクトが沢山入っていると思うので枠が厳しいはず。

だから多少なりとも除去耐性が高い置物からチョイスする事にします。

 

吸血の儀式/Vampiric Rites

個人的にイチオシなのがこれ。

起動コストは絶妙に連発出来ない重さだけど、設置コストは(黒)のみと隙が小さく、起動すれば1ドローに1ライフゲインのオマケが付いてくる。

5/5をハナホジで放置できるデッキは少なく、タネかハサミのどちらかを処理しにきたら、そのスタックで対象になった方をサクってしまえば相手は1枚使ってこっちは1枚減って1枚ドロー、つまりアドバンテージが得られる。

弱点は2枚目以降が完全に腐る事と、色的にエンチャントのサーチが重い事か。

 

選別の高座/Culling Dais

次はこいつ、中々良さそうだと思っています。

アーティファクトなのでサイやアカデミーの廃墟ともシナジーがあり、サーチ兼ねて《発明品の唸り/Whir of Invention》で突然場に出したりも出来るのが高評価。

更に勝ち確のタイミングがあれば、ハサミを付けて殴りかかるフィニッシャーにもなれる。

サクる時のコストがタップのみだから起動の隙が極小に抑えられており、タップアウトしていても(1)払えばいつでも貯金を下す事が出来る。

弱点は起動コストがタップなので、一気に複数のクリーチャーをサクる事が出来無いのと、貯金をおろすにはサクリ台自体を使い捨てなければならない事。

逆に2枚目を引いてしまっても、腐らないのでそこはプラス評価か。

 

交易所/Trading Post

設置時の重たさをクリアすれば、このコンボの理想的なパーツとなりそう。

  1. (1), (T)で活性師をサクり、墓地からアーティファクト回収。
  2. 回収したアーティファクトを出して、永遠の旅で墓地の活性師をリアニメイト、今出したアーティファクトを対象にしてハサミ状態に。

苦手とする追放除去が5/5破壊不能に飛んできたとしても、これでサクれば追放されずに墓地に落とす事が出来る上に、アーティファクトクリーチャーなので回収か1ドローかを選べるのが器用で好き。

問題の設置コストは、発明品の唸りの即席で踏み倒すのが良いかなと思います。

 

うん、こんな感じ。

後は墓地と戦場を行き来させて、しつこくハサミ付きを当てて行けば楽しいんじゃないかな!

 

以上、技量ある活性師についての考察でした。

 


あとがき

今回がっつり調べてみて分かったこと。

それは技量ある活性師をテゼレットの手法より活躍させるには、すげえ手間がかかると言う事!

サクリ台が噛み合うデッキなら結構悪くないかも知れないけどね、コンボ自体は強いと思うから。

ちょろっとブリンクカードも採用して、クリーチャーを全てCIP能力持ちにして「ザ・チップス」みたいなくそダサい名前のデッキを作ってみたくなりました。

チュパカブラが鬼のように強そうですw

Modern,分析

Posted by theuri