運ゲーを楽しむホロウ・ワン vol.9(最終回) – コンバート

モダン環境から《信仰無き物あさり/Faithless Looting》が消えてしばらく経ちましたが、これを主軸にしていたデッキを使っていた皆さんは如何お過ごしだろうか。
あの改定から幾度となく、ホロウ・ワンを何とか以前の強さに戻せないかと色々と試しては実戦、試しては実戦の繰り返しをしていますが大した成果は得られていません。
初めのうちは新ギミックで分からん殺しが通用していても、慣れてこられるとサクっと捌かれて終了みたいな繰り返し。
ホロウ・ワンの強さは、相手の意表を突く奇抜さで勝つ「ローグデッキ的な強さ」じゃ無くて「分かってるけどどうしようもない強さ」にあったんだよなぁと。
そう思えば思う程、偉大なる先人達が煮詰めて来た元のレシピを私の構築力でどうにかしようと言うのが無謀だったのかも知れない。
そこで私はホロウ・ワンの解体を決意し、同時にホロウ・ワンが強かった理由だけを別の解釈で構築出来るならば「似たような強さのデッキ」が作れるんじゃないかと思い始めました。
ホロウ・ワンが強かった理由
ホロウ・ワンがTier1で暴れ回っていた頃、MOの対戦動画でよく言われていたフレーズがあります。
1ターン目4/4がキツくないデッキなんて無い
そりゃそうだ。
《稲妻/Lightning Bolt》でも《致命的な一押し/Fatal Push》でも倒せないサイズのクリーチャーが初手で飛び出して来たら、どんなデッキだって頭を抱えるに決まっている。
つまりホロウ・ワンは
1ターン目に対処が困難なクリーチャーを出したら強い
と言う当たり前の事を世界に示したデッキであると言えます。
そしてホロウ・ワンと言うデッキには「1ターン目4/4着地」を実現するギミックが沢山積み込まれていて、その中でも取り分け確定着地パターンが豊富で、何故かフラッシュバックまで付いている物あさりが「どのカードよりも強力」だったのは紛れもない事実でした。
だから、私の中では物あさりの禁止でホロウ・ワンの強さは半減したと結論付けざるを得なかったのです。
さらに《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》が解禁された事により、メタゲームに《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》が増えてしまったのも向かい風。
コラコマで炎刃や炎跡などとまとめて複数交換を取られるリスクが増加してしまう状況に。
様々な要素がホロウ・ワンにとっては逆境で、運ゲー(※燃え立つ調査&ゴブリンの知識)を制する祈祷力が試されるデッキ(=かなり不安定)になってしまったと言うのが率直な感想です。
コンバート
さて、ネガティヴな話はここまでにして建設的なお話をしましょう!
冒頭で「別の解釈」と書いた訳ですが、ホロウ・ワンの強さの秘訣が
1ターン目に処理の難しいクリーチャーを出したら強い
と言うのなら、それはもう別にホロウ・ワンじゃなくても良いと言う事になります。
ホロウ・ワンはたまたま「この条件を満たしていた」って考え方だね。
使っていた方なら分かると思うけど、実際には毎回のように1ターン目着地なんて起こらない(※当然ですがw)ので、まぁ2ターン目に出ても十分強いよねって感じでマリガンしていたと思います。
なので構築方針は
1~2ターン目にやべえヤツを着地させるデッキ
これで良いと思う、ホロウ・ワンもそうだから。
んでホロウ・ワンのような特殊な召喚コストを持たないファッティを1~2ターン目に叩きつけるには、どうしてもリアニメイトに頼る必要があります。
モダンリーガルで、軽いコストで、リアニメイトする。
そう、《発掘/Unearth》を使えば良いのだ。
3マナ以下のクリーチャーなら、リアニカードに有りがちな「ターン終了時に釣ったやつを追放する」みたいなデメリットが一切無い強力なカード。
赤黒ホロウ・ワンが物あさり禁止直前に手に入れた必殺兵器の《稲妻の骨精霊/Lightning Skelemental》と発掘のとんでもない威力を目の当たりにした時に、既にこの構築理論は見え始めていたのかも知れない。
つまり、3マナ以下の脅威が居ればこう言う図式が成り立つ
1ターン目理不尽
土地置いて、1マナブーストして、手札捨てて、発掘で3マナの脅威を釣る。
2ターン目理不尽
土地置いて、1マナブーストして、3マナの脅威を素出し。
この動き、まさにホロウ・ワンでしょ!
私は思うのです、親和じゃないのに親和と呼ばれるアーティファクトデッキがあるように、ホロウ・ワンじゃないのにホロウ・ワンと呼ばれるデッキがあっても良いじゃないかと。
相手が処理に追われている所に追加戦力をガシガシ叩きつけて蹂躙する、あの「得も言われぬ快感を再び味わうため」に半人前ビルダーの新たな挑戦が始まります。
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運ゲーを楽しむホロウ・ワンシリーズ、最終話までお付き合いありがとうございました!
次のシリーズではホロウ・ワンの魂を継承した新デッキの構築記録を投稿しますので、引き続きお付き合い頂けると幸いです。
あとがき
結果はどうあれ諦めてしまった事で、ホロウ・ワンファンの皆さまは大変落胆されたかと思います。
しかしホロウ・ワンと言うカードのポテンシャルは依然として高く、今後いつ爆発するか分からないパワーを秘めていると私は確信しております。
その時はまた共に戦える事を心より楽しみにしつつ、ファイルのお気に入りページにしまっておく事にします。
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