[モダン構築] カルドーサ・ブリーチ – 上機嫌の解体

何やら最近カルドーサ・レッドと言う、Wiki でしか見た事がないような古いデッキ名をちょくちょく見かけるなと思っていたら、最新セット「ファイレクシア:完全なる統一」にて新録された《上機嫌の解体/Gleeful Demolition》のおかげで、《カルドーサの再誕/Kuldotha Rebirth》が8枚体制になったやで!と言う話らしい。
対戦動画をいくつか見た限りだと、新カード以外は殆ど追加購入無しで組めそうな事が判明、これはやるしかなかろうて。
参考にしたリストを好みで弄って、実際に組んで回してみた感想。
- ○:脳筋フルパン戦法が楽しい。
- ◎:先攻ドブン3キル気持ち良い。
- △:カルドーサとファクトの引きがどちらかに偏ると憤死する。
- ×:モダン環境定番の激情があまりにもキツイ。
- ×:カルドーサとファクトの2枚消費でワンセットなので、捌かれると立て直しが困難。
- ×:息切れしたらジリ貧になる。
引きの偏りについては構築レベルである程度緩和出来るものの、激情に加えて爆薬X=0みたいなリセットがクリティカルヒットしたり、捌かれた上に息切れすると立て直しが困難でジリ貧になる所が構造上の弱点なのかなと思った次第。
ふむ、だったら…
死の国から脱出すれば良いんじゃね?
メイン (60)
クソデッキ特有の魔合体により、また一つ罪深いデッキがここに誕生した。
戦略について
このデッキは、アーティファクトを犠牲に3体のゴブリントークンを生成するカルドーサの再誕と上機嫌の解体でクリーチャーの頭数を稼ぎ、《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》や《無謀な奇襲隊/Reckless Bushwhacker》で速攻&全体パンプをかけながらフルパンし続ける事で勝利を目指します。
生成されるトークンは1/1かつ、パンプもパワーしか上がらないので凄い勢いで死んで行くが、一方取られるのを恐れず数で押せば、何体かはブロックをすり抜けてダメージが入る。
つまり、
それを繰り返せば相手はいずれ死ぬ
と言う算段だ。
なんか、フレーバー的にも実にゴブリンらしいカミカゼ戦法で良いね。
ちなみにこの2種のカード、対応無ければ同じ結果になるが、犠牲にするアーティファクトが PIG 能力(=墓地誘発)を持っていると「微妙に挙動が異なる」のでちゃんと覚えておこう。
ここでは、定番の《彩色の星/Chromatic Star》を例に挙げて解説をする。
カルドーサの再誕
アーティファクトの生け贄が追加コストなので、彩色の星をサクった場合は
- ゴブリントークンを3体生成(カルドーサの再誕)
- 1ドロー(彩色の星のPIG能力)
と言う順番でスタックに乗るため、逆から解決していくと先にカードを1枚引いてからゴブリントークンが生成されると言う挙動になる。
これはルールで定められている「まず唱える事を宣言した呪文、または起動する事を宣言した能力をスタックに乗せる。」の後に、コストとして支払った生け贄の墓地誘発型能力がスタックに乗るためである。
メリット
正直誤差ではあるが、トークン生成前にドローする事で「何らかのインスタントタイミングでのアクション」を構えられるチャンスが得られるかも知れない。
相手からすると、この隙間のタイミングで何かするメリットもあんまり無いように思うので、ほんとに誤差だと思うけど。
強いてメリットを上げるなら、後述の上機嫌の解体はフィズらされる可能性があるが、こちらはそれが無いと言う事ぐらいだろうか。
デメリット
これは追加コストを要求される呪文全般に言える事だが、カウンターを当てられると生け贄に捧げ損になる。
上機嫌の解体
アーティファクト1つを対象に取って破壊し、そのアーティファクトが自分のコントロールするものであれば、ゴブリントークンが3体生成されると言う所までがワンセットで解決される。
そのため、自分の彩色の星を対象に取った場合は
- 彩色の星を破壊し、ゴブリントークンを3体生成(上機嫌の解体)
ここで一旦呪文が解決されて、その結果彩色の星が墓地に落ちるので
- 1ドロー(彩色の星のPIG能力)
ゴブリントークンが生成された後に、墓地に落ちた彩色の星の能力がスタックに乗る、と言った挙動になる。
メリット
対象にとれる範囲に「あなたがコントロールしている」と書かれていないので、相手のファクトを対象に取って破壊する事を選んでも勿論OK。
1マナのファクト破壊は思わぬ所で役に立つ事もあり得るので、これは大きなメリットと言えるだろう。
また、カウンターを当てられた時はファクトが破壊される効果も消えるので、単なる1:1交換で済むため、カルドーサよりは気軽に撃てるのも、ささやかなメリットと言えるかも知れない。
後はトークン生成の条件に「破壊されたら」と書かれていないので、自分がコントロールする《破壊不能/Indestructible》を持つファクトを対象に取るとちょっとお得な感じになる。
このコンボと同じ理屈。
デメリット
先に書いてしまったけど、対象に取ったファクトが何らかの事情で先に戦場を離れたり、対象に取れなくなって呪文が立ち消えるとトークンも生成されないのがデメリット…と言うよりも注意点。
相手が上機嫌の解体にカウンターを切ったのなら損は無いが、対象にしたファクトに向けて除去カードを切られると、こちらはファクトとソーサリーの2枚を失うため、2:1の不利交換となってしまう。
引きムラを軽減する方法
ゴブリントークンを量産するためには、
- アーティファクトを出す。
- カルドーサを唱える。
と言う手順を踏む必要があるので、どちらかに偏って引いてしまうとトークンを出せないままターンが進む事がしばしば発生する。(=奇襲隊も腐る)
ただし、アーティファクトの方は「取り合えず出す」が出来るので、カード1枚と交換出来るタイプの物を3種4枚ずつ、計12枚採用する事で意図的にアーティファクトを引く可能性を高める事で偏りを緩和しようと言うアプローチを取る事にした。
デッキコンセプト的にカルドーサ8枚体制はマストなので8:12、カルドーサよりアーティファクトの方が1.5倍ほど引く可能性が高く、そしてそれらは他のカードと交換出来るファクトに統一する事で「探しに行ける」と言う仕組みだ。
ちなみにネオ神河で追加された《実験統合機/Experimental Synthesizer》が噛み合った時は、軽く宇宙が視えるレベルのアドが取れるので、すっかりお気に入りのカードになってしまった。
追放したカードを「唱えてもよい」じゃなくて「プレイしてもよい」なのが良いね、土地出せるのは物凄く大きい。
死の国からの脱出
ブリーチこと《死の国からの脱出/Underworld Breach》が使えるフォーマットは、現在ヴィンテージとモダンのみとなっている。(理由はお察し)
少し前までのモダン環境では《研磨基地/Grinding Station》とのコンボで有名だったが、最近はイゼットカラーの果敢デッキで「本来の使われ方」をされており、カードに書かれている通りの爆アド祭りが開催されている。
で、冒頭のカルドーサ・レッドの感想に戻る訳ですが、激情にトークンを皆殺しにされたり、手札の消耗が激しかったり、息切れしたら噛み合わなくなってジリ貧になると言う諸々の問題。
これらが発生している状況を考えると、必然的にそれらの残骸が墓地に溜まっていると言う事に他ならない。
つまりブリーチを出したターンは、墓地からそっくり同じ組み合わせの第二波を繰り出せるんじゃね?と言うのが今回の魔合体コンセプトと言う訳だ。
ドラゴンの怒りの媒介者
取り合えずブリーチ4枚入れて回してみたら、秒で「脱出コストがまるで足りない問題」に行き当った。
ほぼ山単なのにフェッチランドを8枚積んで、脱出コストの嵩マシを試すも、お話にならないレベルで足りない。
となると、やはり《ドラゴンの怒りの媒介者/Dragon’s Rage Channeler》を使わざるを得ないと言う結論に至る。
ファクト置いてソーサリーを唱える動きを多用するデッキなので、自然と《諜報/Surveil》が何度も誘発するため、相性はかなり良いように思う。
墓地が肥えると、それは脱出コストにもなり、墓地から唱えるタネにもなるし、当然こいつ自身が《昂揚/Delirium》して3/3飛行になるのも強い。
元ネタは打点アップと《怒濤/Surge》の条件を兼ね備えた《メムナイト/Memnite》が入っていたため、ゴブリンと併せて「ゴブナイト」と呼ばれていたそうだが、枠圧迫のためメムナイトはやむなくお役御免となった。
入りそうで入らなかったカード
ここでは調整中に候補に挙がってきたものの、採用に至らなかったカードを紹介するので、参考程度に見てもらえたらと思う。
ランドヴェルトの大群率い
取り合えず横並び出来る2マナロードは偉いでしょって事で、真っ先に候補に挙がった1枚が《ランドヴェルトの大群率い/Rundvelt Hordemaster》だった。
しかし、このデッキにはこのロード以外のゴブリンがたったの2種類しか入っていないため、死亡誘発によるトップ追放がほぼハズレとなってしまう上に、墓地肥やしに一切貢献しないのが難点。
それを横に置いても、ばらまくゴブリン・トークンが全て2/2、重複すれば3/3以上にサイズアップするため、非常に強力なのは間違いない。
たまたまデッキコンセプトと噛み合わなかったと言うだけで、ブリーチ(=墓地)を使わないゴブリン成分をもう少し高めたタイプであれば、間違いなく必須パーツになるだろう。
戦慄衆の秘儀術師
カルドーサ8枚:アーティファクト12枚、即ちアーティファクト余りがち。
つまり4枚の《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》を投入すれば、実質カルドーサ12枚:アーティファクト12枚となる。(ならない)
最初これに気付いた時に「やべ、かしこすぎww」と思っていたのだが、インスタント0枚、ソーサリー10枚のデッキでコイツを使った所で大して強くないと言う事が分かった。
勿論噛み合えばアドが取れるが、コンバット中に生成されたトークンは奇襲隊の恩恵にあやかれないし、そもそも噛み合わせるのが難しかったりで、あまりにも不安定だと感じた。
若き紅蓮術士
奇襲隊やエンバレス城によるパンプはクリーチャータイプを問わないので、トークンをぽこぽこ生み出すカードと相性が良いであろうと言う事で、久々に《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》を引っ張り出してみた。
そしてインスタント0枚、ソーサリー10枚のデッキで(ry
いざ実戦!
久々に超アグレッシブなデッキだし、沢山一人回しで練習したのもあって使うのが非常に楽しみ。
いつもの対戦相手と相対して、1つだけ存在するダメなパターンを想起する。
このデッキ、ほぼ全てのカードがコスト1なのにメインでチャリスX=1を抜ける方法が無いのだ。
すなわち、相手が良く使うエルトロが出て来た場合、実質2ターンキルまであり得ると言う事。
1戦目(後攻)
お相手先攻、初手エルドラージの寺院から探検の地図。
あっ(察し)
こちら初手、彩色の星置いて終わり。
お相手2ターン目、基本沼置いてチャリスX=1。
うり「投了します。」
無理なんだってば。
2戦目(サイド・先攻)
メインにチャリスを4枚積んでるデッキは、条例で禁止するべきだと主張しつつ、8枚もサイドチェンジ。
こちら先攻初手はガラクタからのカルドーサ、ゴブリン・トークンを3体出して終わり。
お相手初手、エルドラージの寺院から探検の地図出して終わり。
こちら2手目、山置いてゴブリンの奇襲隊キッカーでフルパン8点、これこれ!これがしたかったのよ。
しかも手札には土地と1マナファクトと無謀な奇襲隊で怒涛までが約束されているため、ノンブロックなら打点は11点、無謀な奇襲隊がブロックされても8点、王手である。
そしてお相手の2手目、エルドラージの寺院から難題の予見者、無謀な奇襲隊がピックされる。
うり「人のココロとか無いんか?」
同僚氏「ターンどうぞ。」
ここで攻め手を失い、ウルサガから飛んでくる墓地対策を嫌ってブリーチを減量したのもあり、まったく噛み合わなくなる手札。
1枚目のチャリスは破壊放題で叩き割ったものの、何枚でも出てくるチャリスX=1、手札がどんどんたまって行きます。
しまいには《石の脳/The Stone Brain》とか言う「何故無色に渡したし?」と言う、あまりにも酷いカードに激情を全て抜かれて完全に勝ちの目を奪われるに至った。
8枚もサイドインした対策カードを1枚しか引けなかった自分も悪いが、ここまで1マナスペルが吸い付いて来るのは最早運命なのかも知れない。
うり「投了します。」
無理デシュ次元。
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以上、カルドーサ・レッドのアレンジデッキの紹介でした。
この翌日にも同じエルトロと戦ったけど結果は惨敗、相性が悪すぎてゲームにならんw
メインからチャリス4枚は条例で()
ちなみにこの無理ゲーをしている最中に思ったんだけど、2枚に減量した《ゴブリンの手投げ弾/Goblin Grenade》は、4枚に戻した方が良いかも知れないと思った。
これは単純に4回唱えたら人が死ぬと言う、実にシンプル理由からなんだけど。
どの道チャリスX=1で封殺されるんだけどさ。