モダンはおもちゃ箱6 vol.2 – ホロウ・ワンと陰謀の理論家に早くも「不仲説」浮上
新イクサランにて手に入れた、《太陽の執事長、インティ/Inti, Seneschal of the Sun》を使って《虚ろな者/Hollow One》を粘り強く戦う「ミッドレンジデッキ」として再構築しようと試みるお話、モダンはおもちゃ箱シリーズの第2話。
前回の記事では、メインボードのひな形を作った所までを紹介しましたので、今回はモダンのメタゲームについての考察を深めて行こうと思います。
モダンのメタゲーム考察
直近の禁止改訂で《豆の木をのぼれ/Up the Beanstalk》はともかく《激情/Fury》が禁止されたため、今後のモダンのメタゲームでは「アグロ系のデッキ」が多少復権してくる可能性が出てきました。
主にラクドス想起、豆の木オムナスの弱体化に焦点が当てられているため、ヨーグモス、アミュレット、トロンなんかはほぼノーダメージ、続唱サイはちょっと弱体化ぐらい?で、環境激変とまでは行かないのかなと。
人間デッキはちょっと怪しいけど、新パーツの《ティシャーナの潮縛り/Tishana’s Tidebinder》がかなり強いと評判のマーフォークは、Tier2 ぐらいに浮上してくるんじゃなかろうか。
何にせよ横並びのアグロデッキが出て来るようなら、自然とそう言うデッキに強い「続唱リビエン」がまた良い位置に返り咲く事でしょう。
このデッキはオリファント&トロールと言う、インチキ土地サイクリングカードを満載している上に、各種ディスカードで主力クリーチャーを墓地に仕込む事も出来るため、メイン最強格のリビエンとの相性は意外と良いものになると思われます。
しかし、リビエン環境はメタゲームが自然と墓地に対するガードを上げる作用があります。
本来のホロウ・ワンは墓地対策の上から勝てるデッキなのですが、このミッドレンジ化(笑)の影響で、墓地依存性が高くなってしまっています。
黒力線やRIPを置かれていると想定して、その影響の有無をみてみましょう。
影響有り
- 理論家:ルーティング能力は機能するが、捨てた時誘発は「墓地に落ちたものを選ぶ」ので、追放に置き換えられたらインクの染みと化す。
- 迷いし者の魂:唱えるのに追加コストが必要な 0/1 バニラ、完全ニート化待ったなし。
- 死者の神のお告げ:墓地回収用のカードなので何もしない、これも完全ニート化する。
影響無し
- ホロウ・ワン:置き換えで追放されようが「捨てた」と言う事実さえあれば OK なので、従来通り墓地対策には強い。
- インティ:こちらも「捨てた」と言う事実さえあれば OK なので、強さに変わりは無いと言える。
理論家は良いとしても、フィニッシャーである迷いし者の魂が無力化されてしまうと、流石に決め手に欠けすぎてダメな感じがする。
つまり「墓地に依存せず相手を打ち滅ぼす方法」が必要になると言う事。
救いは定番かマッドネスか
ホロウ・ワンと言うアーキタイプにおいて、相手のライフをガシガシ削る方法と言えば、やはり《炎刃の達人/Flameblade Adept》が真っ先に思いつく。
次点でディスカードシナジーを利用した《癇しゃく/Fiery Temper》のような、いわゆるマッドネスカードだろうか?
改めてリストを見直し見てみると、サイクリング以外でディスカード効果を持つものが《迷いし者の魂/Souls of the Lost》と《燃え立つ調査/Burning Inquiry》しかないので、マッドネスとは噛み合いが良くない気がします。
逆に言うと《屑鉄造りの雑種犬/Scrapwork Mutt》や《苦々しい再会/Bitter Reunion》でディスカード手段を確保し、落魄シナジーを考慮して癇しゃくではなく、パーマネントである《猛火のルートワラ/Blazing Rootwalla》でクリーチャーの頭数を稼いでみるのも悪くないかもしれない。
インティの能力的にも、マッドネスしながら1枚衝動的ドローとか言うアドい動きが期待出来るので、かなりアリな気がしますね!
こんな感じで色々候補を考えると「とてもじゃないけどサイドボードから入れ替える量じゃねえな!」と言う問題が新たに浮上したので、メインボードに手を加える必要が出てきました。
理論家くん(肩ポン)
何度も何度も一人回しでデッキの動きを確認して、何度も何度も「コレジャナイ感」を覚えてしまうカード、それが《陰謀の理論家/Conspiracy Theorist》です。
非常に残念ですが「捨てたカードを墓地から追放して使う能力」と言うのが、ホロウ・ワンと言うデッキの仕組みと本当に合っていないと思う。
ましてやマッドネスなんて、一番ダメな組み合わせまでありますし、これは不採用と言う事にしましょう。
非常に残念だけど。
誰だよ、インティ8枚体制とか言ってたヤツ。
スロットの空きが足りない
墓地が使えなくても全力を出せると言う点に重きを置くと、
- 苦々しい再会:1枚捨てて2枚ドロー、インティで1枚衝動的ドローは相性抜群で落魄シナジーもクリア。
- 猛火のルートワラ:土地をフルタップしていてもディスカードで1アド確定の凄いヤツ、タフ3まで討ち取れるブレス能力が地味に強く、もちろん落魄シナジーもヨシ。
この2枚が良さそうに思います。
雑種犬も捨てがたいけど、墓地対で蘇生が腐ると損した気分になるので今回はお留守番で。
そして…やはり序盤から土地サイクリングをしながらライフを詰めて行ける相性の良さを考えると、炎刃の達人は是非欲しいと思う。
理論家くんの戦力外通告で4枚の空きが出来ましたが、あと8枚ものカードをどうやってねじ込むか…。
ひな形のリストから、カードパワーや落魄シナジーを考慮した取捨選択を試みてみましょう。
死者の神のお告げ
単純なカードパワーで見ると、これが一番弱い。
使用済みの土地サイクリングや通りの悪霊を1マナで回収して再利用すれば「ディスカードを何回も誘発出来て強くね?」と言う、割と実用性がありそうな運用を考えていました。
あとはその…何と言うか燃え立つ調査ガチャでぶちまけてしまったホロウ・ワンを1マナで回収して、そのまま0マナで唱えたら「実質1マナ 4/4 とか最強すぎwww」って言うスケベ心が半分ぐらい。
ぶっちゃけ墓地依存100%な上に、初期手札にサイクリング無し&これが2枚以上とか来たら、真顔で即マリガンは避けられない(=マリガン基準が上がってしまう)ので取り合えず抜いてみようかなと。
思考囲い
正直これ以上リストからカードを抜くのはかなりしんどいのですが、久々にモダンをやると「フェッチ→ショックイン→思考囲い」のあまりの痛さに腰を抜かした(パウパー脳)ので、これを3枚とも抜く事にします。
とは言え、魑魅魍魎が跋扈するモダン環境ではハンデスカードが欲しいシーンは往々にしてあるので、サイドに移す事にしましょう。
カザド=ドゥームのトロール
ラスト1枚は数合わせ、このデッキの色分布的に沼サイクリングのトロールを1枚だけ削る事にします。
土地サイクリングは1マナで土地を1枚確実に手に入れる事が出来て、細かく使う事で各種ディスカードシナジーを享受する事を期待しているので、なるべく減らしたくないですが…。
デッキの色分布がこれぐらい赤に偏っているので、まぁ1枚ぐらいは許容範囲なのかなと。
調整版のリスト
苦労しましたが、なんとか12枚のカードをねじ込んで完成したのリストがこちら。
メイン (60)
1度も対戦する事なくクビになった理論家くんを星空に見ながら、現在はこの調整版リストを一人回ししているのですが…。
意外と強いかも知れん。
構築記事を書いてるくせに「意外」とか言うのはアレですが、いつもはもっと酷い何か紙束のようなものが出来上がって行くので、まともに回るデッキが作れてしまうと不安になります。
良いと感じる部分
- インティが出ていると「攻撃面」でも「プレイ面」でもかなり強力だと感じる動きが出来る、と言うか想像していた3倍ぐらい衝動的ドローが誘発してアド取り過ぎで笑う。
- 1ターン目に炎刃の達人を出して、2ターン目から土地サイクリングを細かく使って「焼くほどでもない火力」でクロックをかけて、削れるだけ削る動きが凄く強いと感じる。(=結果的にそこそこのダメージ&しっかり土地を確保)
- 迷いし者の魂のサイズがめちゃくちゃ過ぎて笑う、唱える時の追加コストも殆どアド損しない作りになっているので、普通にタルモの上位互換(=墓地対策に弱いのは共通)まであるのでは?と思っています、サイズの上限も無いし。
- 調整によりメインボードで墓地に依存するカードが、迷いし者の魂だけになったので、サイドボーディングがしやすくなっている。(ハズ)
気になる部分
- インティが居ると一気に引き出しが増える反面、居ないとほぼアドバンテージが稼げないので、デッキとしての振れ幅が大きく感じる。
- 衝動的ドローは手札ではないので「サイクリング」を起動出来ないため、インティで該当カードがめくれると損した気分になる。
- トランプル付与がインティ頼りなので、マーフォークや人間のような「横並び全体強化系」のデッキ相手は苦戦しそう。(=影槍みたいな一点突破用の兵器が欲しい)
- なんか気になる事が全部インティ絡みで、ホロウ・ワンが空気になっている可能性。
インティがめくっちゃうと「損した気分になるカード」ってやつですが、概ね以下のような感じ。
- 通りの悪霊(4枚):素出しはあんまり強くない上に、5マナは重いので一番損した気分になる。
- 土地サイクリング(7枚):1マナで土地1枚は生命線なので序盤に捲れたら物凄く損した気分になるが、本体が滅茶苦茶強いので6マナ出る所まで行ってれば歓迎できる。
- ルートワラ(4枚):1マナなので唱えられる可能性高いから、まぁ許せるレベル。
- 税血の刃(4枚):タイミングによっては何もしないが、マナが余ってるなら作製目当てで唱える選択肢はアリ。
序盤にめくると明確に損した気分になるカードが11枚、けどその全てがデッキの屋台骨になるカードだから削れないため、そこは割り切った方が良さそうですね。
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改善点っぽい所はちらほらある物の、今回の調整で一気に引き締まった感じがします。
それに、なんかインティの事ばっかり考えてしまうぐらい面白カードだと言う事も分かって来たので、俄然やる気が出てきました!
実際に「強いのか」「使えるのか」については、対戦相手のモダンデッキが完成し次第、実戦レポートを書きますので是非またお越しください!
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