[モダン構築] 事件ストーム – 研究所荒らしの事件
![](https://mtg.theuri.net/wp-content/uploads/2024/02/IMG_0309-scaled.jpeg)
最新セットの《カルロフ邸殺人事件/Murders at Karlov Manor》が紙でも販売開始となりまして、管理人も現物を触り始めました。
その中でも、新たなメカニズムとして登場した《事件》が面白いなと思っていて、いち早く管理人の琴線に触れた《研究所荒らしの事件》を使ったストームデッキを紹介したいと思います。
ざっくりと言うと、全ての能力がストームデッキと噛み合っていて、事件を解明してターンが返ってきたら勝つって書いてる。
じゃあ勝ちに行くわって事で、新カードと相性の良さそうなカードを組みこんだ「新ストームデッキ」がこちらになります。
メイン (60)
ストームデッキらしくメインはオールインなので、自分の置かれているメタゲームによって有利不利が極端になるかと。
あ、本編に入る前にちょっと愚痴らせて欲しい事があって。
この《研究所荒らしの事件》さ、凄く強いと思ったから、プレビューの段階で@780円で4枚予約したんですよ。
それが今見てみたら@300円になってた。
どうしてどうして?
研究所荒らしの事件
まずは新メカニズムのおさらいもかねて、カードのスペックから見て行きましょう。
《研究所荒らしの事件》はシングルシンボル3マナのエンチャント、新しいサブタイプ《事件》を持ちます。
事件は《英雄譚/Saga》のような縦型レイアウトとなっており、テキスト欄は上中下の3つに分かれている。
上段:基本能力
ここに書かれている能力は、事件が場に出たら即座に有効になります。
この事件の場合は常在型能力で、インスタントとソーサリーのコストが(1)減少するとのこと。
つまり1マナ重いけど触りづらいコイツら、いわゆる「メダリオン」ってヤツですね。
メダリオンとは
元ネタはテンペストのアーティファクトで、対応する呪文のコストを(1)軽減するサイクルの呼称。(英名が~Medallion)
当時通っていたお店では《貿易風ライダー》と《転覆》がやたら流行ってたので、サファイアが一番よく見かけました。
今考えると《マナ漏出》が無茶苦茶強く感じたのはメダリオンのせいなのかもしんない。
中段:解明条件
全ての事件は《未解明》の状態で場に出てきて、それを「解明する条件」がこの中段に書かれています。
この《解明条件》は誘発型能力で、事件が《未解明》の状態だと、毎ターン自分の終了ステップに誘発してスタックに乗り、指定条件がクリアされているかのチェックが行われる。
この事件の場合は、自分のターン内にインスタントかソーサリーを4回以上唱えていればおけ。
上段のメダリオン能力、そして中段のインスタントやソーサリーを連打すると言う条件。
この情報から導き出されるデッキは?と問われると、ストームデッキと答えざるをえません。
下段:解明完了
事件が《解明完了》の状態になると即座に有効になります、いわゆるご褒美ってヤツです。
この事件の場合は、インスタントかソーサリー全てにキャントリップが付くと書かれています。
上段・中段で明らかになった「どうやらストームデッキで使うらしい」と言う条件を当てはめつつ、ここまでをまとめると、
インスタントやソーサリーを唱えるだけで1ドロー、しかもコストが(1)減少する状態のストームデッキ。
と言う答えが導きだされる。
どう考えても勝ちって書いてるな?
なるほど、解明完了。
解明完了してターン返ってきたら勝つでしょ
モダンのストームは、
- メダリオン(=バラルや電術師)が生還したかどうか。
- マナ加速呪文とキャントリップ呪文が手札にあるかどうか。
この2点を見極めて走り出します。
けちストーム、いわゆる《炎の中の過去/Past in Flames》を使うタイプなら完走確定状況を作り出せますが、管理人のような
ヒャアがまんできねぇ0だ!
みたいな脳の作りになっているプレイヤーは、一定数居るに違いありません。
そう言ったプレイヤーは、ゲーム開始直後からウズウズしていて、やたらめったに見切り発車してしまう悲しい習性があるのです。
挙句完走できずに真顔でターンを返して、介錯待ちになるとこまでワンセット。
なんと罪深い生き物か。
見切り発車への言い訳
しかし、解明完了したこの事件があればどうだろうか?
とにかくインスタントかソーサリーを唱えたら1ドローするので、全然手札が減らなくなるどころか、元からキャントリップ付きの呪文を唱えると逆に手札が増えて行くことになります。
ここまでをまとめると、
マナ加速が1枚あれば、後先考えずに見切り発車しても良い。(良くない)
となるので、常に走り出したい我々チェーンコンボ・ジャンキーにとっては、都合の良いカードと言えましょう。
2ターン目に解明完了を狙う
フラットな状態で考えると、3ターン目に3マナのエンチャントとして普通に唱えて、生還お祈りして、4ターン目にインスタントかソーサリーを4回唱えて《解明完了》させて、生還お祈りして、5ターンm(ry
そんな悠長な事をしていたら「坊や、モダンは初めてかい?」と言わんばかりに洗礼を受け、顔面が爆発してしまうのがモダン環境。
すぐに除去されてしまうクリーチャーと違い、微妙に触りづらいエンチャントなので場持ちは良さそうだけど、可能な限り「出したターンに《解明完了》したい」のは間違い無いでしょう。
で、何度もシミュレートした結果。
流石に1ターン目は無理としても、2ターン目なら割と現実的なレベルで《解明完了》まで行ける事が分かりました。
特に初手で《一攫千金/Strike It Rich》を唱えていた時が、最も再現性が高くなります。
宝物トークンが1つ出るため、2ターン目に《発熱の儀式/Pyretic Ritual》か《捨て身の儀式/Desperate Ritual》を唱えて(赤)(赤)(赤)を出し、宝物トークンから(青)、儀式から(赤)(赤)を使って《研究所荒らしの事件》を設置します。
すると「コスト(1)軽減の状態で(赤)浮き」と言う状況になるので、かなり簡単に《解明条件》を狙う事が出来ます。
当然、解明には事件+4枚のカードを使うため、なんとしても《研究所荒らしの事件》を生還させる必要があります。
メインだと《差し戻し》ぐらいしかケア出来る呪文が無いんですけど、青い相手なら事件本体へのカウンター、白や緑のサイド後に対しては除去への警戒を怠らないようにしましょう。(オールインはそんなもん)
逆に、相手にこちらのデッキリストがバレていない状態なら、強気で手札を使いまくってでも《解明完了》を狙う価値はあると思います。
何故なら《解明完了》した《研究所荒らしの事件》が生還すれば、リソースなんてすぐに取り返せるので!
まぁ、初見殺しって言うんですけど。
相性が良いカードの紹介
さて、ここでは構築の際に厳選した「おススメカード」の紹介をしていきますので、是非参考にしてください。
一攫千金
すでにチラっと書きましたが、これ凄い相性が良くて。
1マナのソーサリーで宝物トークンが1つ出るから実質フリースペルで、ターンを跨げばマナ加速になります。
更に、このフラッシュバック(2)(赤)はメダリオン能力の軽減対象となるので、メダリオンが2枚並べば、
- 手札から唱えても1マナ。
- 墓地からフラッシュバックしても1マナ。
となります。
《研究所荒らしの事件》が《解明完了》していると、自分で出した宝物を使ってフラッシュバックして宝物を出すって事が出来るので、手札を使わずに手札を増やせておまけにストームも稼げると言うなんとも胡散臭い状態に。
これが《解明完了》するために、手札を沢山使っても良い理由の一つです。
約束の終焉
自分の墓地からマナ総量がX以下のインスタントとソーサリーを1枚ずつ再利用出来る呪文、当サイトではたびたび出てくるアレな1枚。
この呪文の(X)部分も、当然ながらメダリオンの軽減対象になります。
何と言っても「1枚の手札で3回唱えられる」のがポイントで、儀式からこれを唱えるだけで、綺麗に《解明条件》(=4回)を満たす事が出来ます。
更にこの《約束の終焉》は可能な限りX=2で唱えたくて、儀式からは3マナ出て、事件のメダリオン効果でピッタリ3マナでX=2になるのも最高に噛み合っていると言えます。
墓地の仕込みは考えずとも自然に準備が整うようなデッキ構成になっているし、《魔力変》で青マナを捻出する手間も無し、事件が《解明条件》していれば3ドローも付いてくる!
これもまた《解明完了》するために、手札を沢山使っても良い理由の一つです。
構築でパズルがピタっとハマった感覚は久しぶりだぁ。(クソデッカー並みの感想)
差し戻し
2024-04-05 修正:読者さんにご指摘いただきました。
この「解決中に呪文を唱える」の挙動は間違いです、踏み倒した《差し戻し》が解決される時には、スタック上の《約束の終焉》は既に解決済みで墓地に置かれているため、対象に取る事は出来ません。
これは《研究所荒らしの事件》と言うより《約束の終焉》との相性になりますが、覚えておいた方が良い小技があります。
前提として《差し戻し》が墓地にある状態で《約束の終焉》をX=2以上で唱え、インスタントは《差し戻し》を、ソーサリーは任意のものを対象に取ります。
この時スタック上には《約束の終焉》と、墓地から対象に取った《差し戻し》と、何かソーサリーが乗った状態になります。
スタックの状態
《約束の終焉》は対象に取った呪文が全て解決されるまで解決されないので、この状態の《差し戻し》は同じくスタックに乗っている《約束の終焉》か任意のソーサリーを対象に取る事が出来ます。
つまり、ストームを3稼ぎながらどちらかを手札に回収出来ると言う事になります。
《研究所荒らしの事件》が《解明完了》していれば、自身のキャントリップと合わせて2ドローなのも強力なポイントです!
電位式リレー
シミュレート上では「解明完了狙いの時は大体マナが余る」と言う結果になっていて、これを無駄なく活かせる(=噛み合う)カードが無いか探したところ、《電位式リレー/Galvanic Relay》とか言う都合の良いカードを発見しました。
従来の UR ストームでは「次のターンまで唱えられない部分」がネックになっていたのですが、《解明完了》狙いなら嫌でもターンを跨ぐ必要があるので、むしろメリットまであります。
マナ加速連打からの《電位式リレー》で「ストーム3~4&解明条件達成」は完全に処刑宣告なので、相手に対応を強制する事が出来ますね!
最悪相手が《解明完了》した事件を除去してきて、それを防ぐ事ができなくても、返ってきたターンで4~5枚のアドバンテージを活かして、再度仕掛ける事が出来るのは大きい。
現在はスロットの都合上ピン挿しですが、増量する事になりそうです。
未解明でも一応は
基本的には《解明完了》後のキャントリップ付与で無茶苦茶するデッキですが、相手もマグロではありません。
当然この事件をなんとかして排除してこようとするでしょう、自分でもそうします。
MTG プレイヤーならご存じの通り、モダン環境に限らず「コンボパーツ(=特大の的)をターン跨ぎで生還させる」と言うのは、そこそこキツい条件です。
しかしこの事件は未解明でもメダリオンクリーチャーと同等の効果があるので、とりあえず場に出てたら最低限の仕事はするよね?と思った次第。
なのでダブっている時なんかは特に「気軽にポン置きして生還お祈り」は全然アリな選択肢で、リソースを温存して次のターンの仕掛けに備えましょう。
玄人ストームデッキ使いのプレイングは、ほんとうに「タメのターン」の作り方(=判断)が上手いんですよね。
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以上、新カードの《研究所荒らしの事件》を使った新型ストームデッキの紹介でした!
ドレッジもそうだけど、ストームデッキも定期的に回したくなるので、今回の新カードは渡りに船って感じで。
まだ実戦は出来ていませんが、久々のストームデッキを楽しみたいと思います。(最低でも3,120円分は供養してあげないと)
例のタマタマが環境にほぼ居ないので、割と刺さったりするかもしれないよね。
ディスカッション
コメント一覧
差し戻しの小技で「《約束の終焉》は対象に取った呪文が全て解決されるまで解決されないので~」とありますが、《約束の終焉》の解決中に行わるのは呪文を唱えるまでで呪文がスタックに置かれるのは《約束の終焉》の解決後でないでしょうか?
4~5年前になりますが、複数名の認定ジャッジの方が運用されているXのアカウント(MTG質問箱 @testing_box)で以下のような裁定があったので、全て解決されるまでスタックに残っているものだと思っていました。
https://x.com/D1sDh/status/1132631662804709379
この挙動については思い込みの可能性があるため、もう一度調べなおしてみますので、記事は調査中として注釈を入れておきますね。
ご指摘ありがとうございました。
MTG のルーリングブックを確認してきました。
《唱える》は、必要ならコストや対象を選んでスタックに乗せる所までを指すため、《約束の終焉》の解決中に対象に取ったインスタントとソーサリーがスタックに乗るところまでは正しい動きでした。
そして《唱える》(=スタックに乗せる)が完了した事で《約束の終焉》は解決されて墓地に移動し、続いて対象に取ったインスタントとソーサリーをスタックルールに基づいて順番に解決する。
つまり《約束の終焉》は解決されて墓地に落ちているため《差し戻し》する事は不可能、と言うのが正しい挙動になります。
ご指摘なかったら、これから先もずっと勘違いしたままプレイする所でしたので非常に助かりました!
早速記事を修正したいと思います。