[モダン構築] 雷電クラッシュ – 暴力的な突発が禁止と言う事で

2024年3月23日

2024/3/12の禁止改訂にて、モダン環境から《暴力的な突発/Violent Outburst》が禁止カードに指定されました。

かなり前から散々「相手ターンに《否定の力》を構えられるインスタントなのは良くない」と言われ続けていて、実際にこのカードを用いた《死せる生/Living End》《衝撃の足音/Crashing Footfalls》などの「カスケード系」が Tier 上位の中で安定した戦績を残し続けていました。(特に衝撃の足音)

個人的に「強いデッキは強いで良いじゃん」とは思っているけど、せっせと墓地肥やしをする必要があるリビングエンド(死せる生)と違って、カスケードクラッシュ(衝撃の足音)はあまりにもお手軽な1枚コンボと言う点が、メスを入れざるを得なくなった理由ではないかと、そんな風に思う。

結果的にはインスタントタイミングが許されないだけで、ソーサリータイミングならまぁ良いんじゃない?となったわけで、世のカスケーダー達は「代用品」を手に入れざるを得なくなりました。

と言っても、条件を満たすカードは《献身的な嘆願/Ardent Plea》《悪魔の戦慄/Demonic Dread》の2種類しかありません。

この代用品問題は一夜にして在庫が枯れ、超高騰したのが《献身的な嘆願》の方だったので、多くのプレイヤーは「弱いけど確実に唱えられると言う選択をした」ってのが、現時点での答えのようです。(※クラッシュにせよリビエンにせよ1体だけで殴る事が前提の《賛美》が噛み合いにくい。)

 

しかし世の中には「そんな弱いカードを使うぐらいなら《続唱/Cascade》自体を使わなければ良いのでは?」と考える輩も居るようで。

<雷電クラッシュ/Electro Crashing>

こんなリストが完成した模様。

よく見なくても《雷電支配/Electrodominance》《約束の終焉/Finale of Promise》が使いたかっただけ感が凄まじいものの、ノンカスケードな《衝撃の足音》が現環境で戦えるのかどうかを測るには、ちょうどいい塩梅のデッキではなかろうか。

なお直近でも《雷電支配》と《約束の終焉》を、喜々として紹介しているの記事を文末に載せておくので、未読の方は是非。

 


戦略について

このデッキはカスクラ&リビエンでは採用出来ない「強力な1~2マナのカード」をたっぷり搭載し、墓地利用のカードから大量のアドバンテージを得て、最終的にはサイの質量で相手を押しつぶすことで勝利を目指します。

マナ域の順で各種カードを見て行きましょう。

 

1マナ域

大事な大事な初手に行動出来るカードは、妥協枠を含めなんと20枚!

流石にデッキの 1/3 を占めていれば「なんか引くやろ理論」も信憑性が高いと言える、そんな構成。

最も土地が22枚しか入っていないので、土地1枚キープでもなんとかなって欲しいと言う願いが多分に込められているため、多少の祈祷力が必要かも知れない。

 

定業・考慮

やはり《定業》が解禁されたのは大きくて、使えば納得の強さです。(※調整版である《血清の幻視》と一緒に使うと良く分かると思う。)

特に「勇気の土地1枚キープ」の時に、掘れる枚数が2枚か3枚では安心感が全然違います。

ゆるキープすんなって話でもあるけど、MTG プレイヤーならマリガンチェックの際に幾度となく見てきたはずです。

土地引いたら強い

と言う7枚を。

本来マリガンすべき7枚を助平心で押し通したい、読んで字の如く《定業》の業は「業が深い」の業なのだ。

後は1マナのインスタントがもっと欲しかったので、後述の墓地シナジーのために《考慮》を採用しています。

 

稲妻

みんな大好き1マナ火力の祖にして完成形です、説明不用の強さ。

基本的に序盤は相手のマナクリやシステムクリーチャーを焼くのに使うけど、ライフを詰めて行けば、最終的には相手の顔面にシュゥゥゥーッ!!が出来るリーサルカードにもなる。

 

祖先の幻視・衝撃の足音

この2枚は妥協枠、一応1マナで《待機/Suspend》させておけるので1マナアクション換算。

ただし、後述のカードを利用して踏み倒しブッパするのが本命となるので、それらのカードが揃っている場合の初手は、土地のタップイン処理などに使いましょう。(諜報ランドがおススメだよ!)

 

2マナ域

このデッキの花形、本命のマナ域は早くも2ターン目にやってきます。

 

雷電支配

デッキ名を関する特殊な踏み倒し能力を持つインスタント火力呪文、X点火力だけど「0マナの呪文を踏み倒すなら2マナ呪文でしょ?」という事で2マナ域扱いで。

この呪文と《衝撃の足音》と言う2枚コンボが成立すると、なんと2ターン目を終えて返した相手のターンに 4/4 トランプルのサイが2体出てきます。

本家カスケードクラッシュより1手早く8点クロックを盤面に展開出来る事を考えると、かなりヤバイ事が分かりますね!

勿論、Xに何点か入れて相手のシステムクリーチャーなどを焼きながら踏み倒すと「1枚分のアドバンテージが得られる」ので、どうしても2アクション取りたいなどの理由が無いなら狙ってみると良いでしょう。

 

約束の終焉

管理人がやたら使いたがる特殊な墓地利用カード、今回は4枚フル投入出来て満足。

これもXコストだけど「0マナの呪文を踏み倒すなら2マナ呪文でしょ?」という事で2マナ域扱い。

運ゲーにはなるものの、初手に諜報ランドや《考慮》で《衝撃の足音》を墓地に落とせた時、やはり2ターン目に 4/4 トランプルのサイが2体出てきます。

とは言え、これは「使い終わった待機呪文を再利用する」のが本命で、欲を言えばX=1でついでにインスタントも再利用すると言う運用が最大効率となります。

本家のカスクラと違って、確定で《衝撃の足音》を唱えられない分、一度唱える事に成功したら水増しして威力を2倍にしたいと言う、切実なデッキ事情によるものです。

勿論その1回分(=2体)のサイでごっそりライフ削れそうならX=0で唱えるべきだし、その辺はプレイヤーの「巧さ」みたいのが出てくる所なんじゃなかろうか。

 

戦慄衆の秘儀術師

レガシーで禁止されて以降、何故か禁止されていないモダン環境でもめっきり姿を見なくなった通称アルカニストくん。

ラガバンやらオークのせいで増えまくった1マナ除去を当てられると、テンポ損するからとかそんな理由なのかな?

しかしこいつの強さはエターナル禁止級、理論上では軽量インスタント&ソーサリーがエターナル環境並みに詰め込まれたこのデッキにおいては、その強さが遺憾なく発揮されると言う事になると良いな

こいつは1マナ域で紹介した全てのカードを墓地からノーコストで再利用(=踏み倒す)ことが出来る訳だし。

墓地にさえあれば《祖先の幻視》も《衝撃の足音》も全て踏み倒せる。

後はわかるね?

 

対抗呪文

全てのカウンター呪文の祖にして(ry

無難に強いけど、一人回しした感じだと青ダブルがつらい事がままあるので、色拘束が緩くてキャントリップ付きの《差し戻し》とかで良いかもしんない。(※約束の終焉とのプチコンボもあるし。)

 

3マナ域

このデッキのマナカーブの頂点、正直大したカードは無い。

 

予言により

ハッキリと「絶対に4枚も要らない」と思ったので、2枚に抑えています。

一応3ターン目に置いて《衝撃の足音》とか《祖先の幻視》とか言えるので、3マナ続唱のデッキと同じ速度ならそこまで悪く無いのかも知れません。(育つとテンポ取れるし。)

 


実戦的な動きについて

ここでは実戦で使える基本テクニックから、ゲームの分岐点になりえる強力な動きなどを紹介します。

 

アルカニスト絡みのドブン

2ターン目にアルカニストを出して、3ターン目の第1メインフェイズに待機呪文を踏み倒し、戦闘に入って直前に踏み倒した待機呪文を再利用すると言う、単純にカードに書かれている通りの事をするだけ。

難しい事はしていないけど、サイなら4体、幻視なら6ドローと言う莫大なアドバンテージを得る事が出来る。

MTG 簡単や!

3ターン目で3マナ出るとすると、踏み倒し側は《雷電支配》か《予言により》の計6枚、踏み倒す側の待機呪文は計8枚。

アルカニスト含め3枚コンボとは言え、1ターン目に《定業》とか唱えていれば、中々悪く無い確率でコンボが成立します。

勿論最速3ターン目と言うだけで、とにかくアルカニストがターンを跨いで生還すればいつでも仕掛けられるよってお話。

0~1マナの呪文が20枚も搭載されたデッキで、アルカニストの召喚酔いが解ける。

これだけで既にかなりヤバい状態だから、ある意味で1枚コンボと言えるかも知れない。

 

雷電支配の小技

現モダン環境では無視できない《一つの指輪/The One Ring》による本体プロテクションはソーサリータイミングなので良いとしても、デッキによってはインスタントタイミングでクリーチャーに《呪禁/Hexproof》を付与してきたりする事が有ります。

雷電支配は最初のダメージを与える所をフィズらされると、手札からの踏み倒しごと立ち消えてしまい、大変悲しい思いをします。

もし、その可能性があると判断した場合は「雷電支配、X=0、対象、オレ!!」と宣言する事で、ほぼ確実に立ち消えをケアする事が出来るので覚えておきましょう。(1敗)

 

約束の雷電コンボ

求む、ネーミングセンス。

このデッキは手札の待機呪文を踏み倒す際に、多くのケースで雷電支配を使います。

そのままゲームが進行していくと「手札に待機呪文があるのに雷電支配が引けないよ!」と言う状況になったりします。

しかしここで《約束の終焉》をX=2で唱えると、以下のような動きをとることが出来ます。

  1. 約束の終焉X=2、墓地の使用済み待機呪文(ソーサリー)と、使用済み雷電支配(インスタント)を対象にとる。
  2. 1の墓地の使用済み待機呪文(ソーサリー)をノーコストで唱えて解決する。
  3. 1の墓地の使用済み雷電支配(インスタント)をノーコストで唱える、ルールによりX=0となるので、念の為「対象、俺!!」と宣言して解決する。
  4. 3の解決に際し、手札のマナ総量が0である呪文(=待機呪文)をノーコストで唱えて解決する。

なんと1枚の《約束の終焉》から、2枚の待機呪文が飛び出すと言う、胡散臭すぎる挙動が実現。

トップ勝負をしているような状況なら、ほぼゲームが決まるレベルのアドバンテージとなるでしょう。

 


サイドボードについて

ここまで紹介してきた強烈な動きは殆ど墓地を利用していて、完全に墓地依存のカードが8枚採用されています。

そのため、サイドボード後は墓地対策を想定したものを中心に8枚入れ替える方向で考えてみました。

 

氷の中の存在

上記の8枚をサイドアウトしたとて、インスタントとソーサリーはデッキに28枚残る計算になります。

デッキの約半数が条件を満たしていて、墓地対策を無視して安定した変身が可能とあらば「軸ずらし性能が高い」と判断、久々に中野くんを引っ張りだしてきました。

変身したら「サイトークンも巻き込まれて消滅するじゃん!」と思われるかも知れませんが、氷カウンターの数を調整する事で以下のような動きが出来ます。

  1. 《衝撃の足音》を唱えてスタックに乗った時に《氷の中の存在》の能力が誘発してスタックに乗る。
  2. スタック上の《氷の中の存在》の能力を解決し変身、変身した時の能力がスタックに乗る。
  3. 変身した時の能力を解決し、ホラー以外のクリーチャーを全バウンスする。
  4. 最初にスタックに乗っていた《衝撃の足音》を解決して、サイを2体出す。
  5. こちらの15打点相手は死ぬだけが盤面に残る。

これは《衝撃の足音》を唱えた時に、氷カウンターがぴったりゼロになる必要はなくて、正確には

衝撃の足音がスタック上にある状態で氷カウンターがゼロになる。

を満たせば良いです。

要はスタック上で《衝撃の足音》が解決される前に《氷の中の存在》の変身能力が解決されれば同じ結果になるという事。

例えば《衝撃の足音》を唱えた時点で、氷カウンターがあと1つ乗ってるなら《衝撃の足音》を解決するスタックで《稲妻》なり《考慮》なりのインスタントを唱えてやれば条件が満たされると言った具合。

 

弾けるドレイク

墓地対策されると、当然たくさん唱えたインスタントやソーサリーも追放領域に置かれていきます。

それを無視して、高い打点を出せて、ブロックされにくいクリーチャー。

みんな大好きイゼット・フェニックス(主にパイオニア)で、サイド後の軸ずらし定番となっている《弾けるドレイク》は、このデッキにもジャストフィットするのではなかろうか。

マナベースの関係上、強烈な色拘束に加え、そもそも4マナ出すのが大変と言う理由で2枚に抑える事にしました。

 

神々の憤怒

上記2種のクリーチャー、そしてサイは全てタフネス4なので「全体3点火力」に巻き込まれないよねって事で。

ドレッジが元気だった頃によく見かけたカードですが、たぶん追放する能力は今も何かと強いと思うので、横並びするデッキと戦う機会があるなら是非。

 

厚かましい借り手

カスケード系の弱体化によって Tier1 が入れ替わるとするなら、元々強くて禁止改訂による影響を受けなかったデッキである「ヨーグモス系」「ドメイン系」のアーキタイプが有力候補になってくると思われます。

この2つのアーキタイプに有効になりえるカードで、かつイゼットカラー(=青赤)となると、バウンス呪文ぐらいしか思いつきませんでした。

ヨーグモスに対しては、危険なものを煮込んだ《アガサの魂の大釜/Agatha’s Soul Cauldron》をバウンスしてイージー WIN を許さないとか。

不死クリーチャーに -1/-1 カウンター&ドローを起動した時にフィズらせてコンボを中断させたりなどの使用方法が考えられる。

ドメインに対しては《ギルドパクトの力線/Leyline of the Guildpact》をバウンスするだけで痛烈にぶっ刺さるので、かなり有効なんじゃないかなと。

パクト力線前提でキープしてたりしたら、ドメイン能力を持つクリーチャーの弱体化による大幅な戦力ダウン、カラースクリューによる大幅な速度低下は免れません。

 

頑張ってクロパする

暫く環境に残留するであろうカスケード系2種と、マークタイド系などのフェアデッキも見たいとなると「サイドボード足りねえよ問題」が障害になってきます。

勿論ラガバンやオークを警戒しない訳にはいかないし、墓地対策もしたいし、可能な限り《一つの指輪》もカウンターで凌ぎたい!ってなると、

お手上げです!

と言うのが正直な所。

幸いサイド候補のクリーチャー達は2~3回殴れば勝ちってぐらいクロックが太いので、残りの枠は「自分の対戦環境に合わせたカウンター」を積んで、クロック・パーミッション戦法で完走を目指すのが現実的ではなかろうかと。

 

以上、《続唱》を使わない《衝撃の足音》は使えるのか?と言う実験的なデッキの紹介でした!

いつもの事ながら、現時点では「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」状態なので、しばらく実戦を繰り返してからレポートを書きたいと思います。

残念ながら現在管理人の対戦環境は、

  • 大量の賛美軍団が並んで単騎突撃してくる謎のデッキ
  • やたら3マナ構えたがる魚人デッキ
  • 欲望を咎める事に特化されたデスタク

みたいなメタゲームとなっているので、あんまり参考にならない気がしますw

おそらく最新の諜報ランド(別に無くても良い)ぐらいしか高いカードが無いので、現モダン環境のトップ Tier デッキと戦える方は是非お試し頂ければ幸いです。

そして、出来ればどんな感じだったか教えて貰えると大変ありがたいです!

 


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Posted by theuri